2017秋学期 月曜 生涯学習と図書館 4週目
前回
今回から、法律だとか指定管理者制度とかに踏み込んでいく模様
頑張ろう……(白目)
社会教育行政の意義と施策
生涯学習関連の法律
(1)教育法の概念
(2)教育法規が規律する事項
a) 普遍的事項:伝統的・普遍的な自由・権力に関係づけて規律している領域
教育を受ける権利や教育における平等
b) 管理的事項:一定の教育政策目標達成に関係づけて規律している領域
学校体系や教科書検定など
c) 自治的事項:人々の教育的自治を尊重し支援しようとしている領域
教育条件の整備や指導助言
(3)法律による行政(近代国家の基本的骨格としての法治主義)
a)権利義務に関する法令の執行
b) 法律上定められた行政権の発動
c) 権利義務に関係しないが法律に基づく行為の実施
(4)教育法規の体系
a)憲法:教育関連条項
・26条:教育を受ける権利
「すべての国民は、法律の定めるところにより、
その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」
「すべての国民は、法律の定めるところにより、
その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」
・23条:学問の自由
・13条:個人の尊重、幸福追求権、公共の福祉
・14条:法の下の平等
・20条1項:信教の自由(ex.宗教上、日曜参観に行かなくとも欠席ではない)
・25条:国の社会保障義務
b)法律:
* 教育基本法(平成18年12月22日法律第120号)
→社会教育法(昭和24年6月10日法律第207号)
第9条 図書館及び博物館は、社会教育のための機関とする。
2 図書館及び博物館に関し必要な事項は、別に法律をもつて定める。
→図書館法(昭和25年4月30日法律第118号)
教育基本法の成立過程
- 1945 年8 月 ポツダム宣言受諾
連合国:平和主義と民主主義の確立を目指し、教育改革に着手
→ 日本の教育の弊害を除去しようとする動きがかなり急であった - 1946 年3 月 米国教育使節団報告書作成(3 月31 日)
→ 民主主義、自由主義の教育理念が明記 - 1947 年3 月31 日 公布・施行
- 2006年 教育基本法改正
教育基本法改正
→ 社会教育・生涯学習に関連する大きな特徴
あ)旧第2条(教育の方針)の削除と新第3条(生涯学習の理念)の追加
い)旧第7条(社会教育):「勤労の場所」の規定削除
c) 政令:図書館法施行令(昭和34年4月政令第158号)
国が地方公共団体に補助する経費の範囲
d) 省令: 図書館法施行規則(昭和25年9月文部省令第27号)
司書となる資格の科目、司書講習に関する規定
e) 告示等: 図書館の設置及び運営上の望ましい基準
(平成24年12月文部科学省告示第172号)
◎ 自治体 条例→規則→告示等
・ 条例: 横浜市立図書館条例(昭和39年3月31日条例第49号)
・ 規則: 旧横浜市立図書館規則(昭和41年4月教委規則第2号)
横浜市立図書館規則(平成6年1月5日教委規則第1号)
:旧規則の全部改正、管理運営に関すること
社会教育法(昭和24 年6月10 日法律第207 号)
(1) 社会教育法の構成
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 社会教育主事及び社会教育主事補(第9条の2―第9条の6)
第3章 社会教育関係団体(第10条―第14条)
第4章 社会教育委員(第15条―第19条)
第5章 公民館(第20条―第42条)
第6章 学校施設の利用(第43条―第48条)
第7章 通信教育(第49条―第57条)
附則
(2)社会教育の定義(社会教育法第2条では)
この法律で「社会教育」とは、学校教育法又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に基づき、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む)をいう。
(3)2006(平成18)年の社会教育法改正
- 8条にわたる削除と改正:青年学級振興法(昭和28 年成立)廃止
- 社会教育法15 条の社会教育委員の構成:委嘱手続きにかかる規定削除、構成規定の簡素化
- 公民館:29 条1項の公民館運営審議会必置規定廃止、任意設置、構成も弾力化
28 条2項の公民館長の任命時の公民館運営審議会からの意見聴取義務廃止
(4)社会教育法の規定
行政が自ら積極的に社会教育振興のために遂行すべき活動を規定
民間の社会教育への助成にあたり、行政が取るべき措置を規定
社会教育に関して、最小限、国家的関心事となる範囲のみを指定by文科省
社会教育における国の役割
予算の範囲内において、物資の提供およびその斡旋を行う
基本方針の策定
情報収集および提供
機会の均等
市町村の役割
援助、管理、集会の開催と奨励、機会提供など
バブル崩壊により1990〜民間教育文化産業伸び悩み
民間活力を導入しながら学習基本構造を立案するというこうそうは大きく後退?
事業提供よりも団体との連携、情報提供が行政の中心に
生涯学習振興法
……生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律
(平成2年6月 29日法律第71 号))
(1)特色と批判
- 日本で最初の「生涯学習」という言葉を用いた法律
- 全11 条の短い法律
- 生涯学習の主務官庁:文部科学省と経済産業省
(関連行政機関の例として厚生労働省等を想定) - 国の仕事が小さい
- 都道府県の役割重視
- 民間の活力を活用
- 「生涯学習」の定義がない
- 学習機会選択援助型の生涯学習行政
(2) その後の展開
(1)1970 年代
- 1971 年 社会教育審議会答申
「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」 - 第2部や第3部では生涯教育の具体策はほとんど議論されず
- ライフサイクルに応じた「生涯の各時期」における社会教育の系統的な展開の在り方が提言
- 答申の主眼:“生涯教育の観点にたって社会教育の現代化をおしすすめること”
(2)1980 年代
- 1981 年 中央教育審議会「生涯教育について」
- <文部省>1988(昭和63)年、文部省に生涯学習局を設置
- 臨時教育審議会「生涯学習体系への移行」を教育改革の理念
- 生涯学習と生涯教育の区別
- 主体は自由に学習する国民
- 制度はそれを支援する手段 という位置づけ
(3)1990 年代
- 1990(平成2)年 中央教育審議会答申「生涯学習の基盤整備について」
- 1990(平成2)年
「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律
(生涯学習振興法)」制定
☆「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」 - 1990(平成2)年 生涯学習審議会発足
- 1992(平成4)年
「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」答申 - 1996(平成8)年
「地域における生涯学習機会の充実方策について」答申 - 1998(平成10)年
「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」答申 - 1999(平成 11)年
「学習の成果を幅広く生かす−生涯学習の成果を生かすための方策について」答申
(4)2000 年代
- 2000(平成12)年
「新しい情報通信技術を活用した生涯学習の推進方策について」答申 - 2001(平成13)年
中央省庁等改革の一環としての審議会整理、
生涯学習審議会は、中央教育審議会生涯学習分科会として再編 - 2008(平成20)年
「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築をめざして」答申
※ほぼレジュメ書き写しなので調べつつ追記する必要がある。