2017秋学期 金曜 質的調査法 1週目
【重要な連絡】参考文献を選定せよ!
質的調査に用いた文献を各自一冊よむ(論文は不可)
各自で選び、10/22までに選びmanabaに登録
→okならばAが返信、そうでなければ連絡返信
選び方
※少しは授業内でも紹介
以下、シラバスより
授業概要
社会学・文化人類学における質的調査の柱であるエスノグラフィー (参与観察とインタビュー) に焦点を当てて、そのさまざまなアプローチを概観する。質的調査に基づいて書かれた文献に多く触れることで理論の応用方法を学ぶ。
目標
エスノグラフィーという手法についての基本的な理論と近年の議論を理解し修得した上で、学生自身の研究において質的調査を用いることができるような実践的な技術を身につけていくこと
スケジュール
1) オリエンテーション・質的調査とは何か
2) 研究計画を立てる
3) 質問紙・同意書を作成する
4) インタビュー調査をおこなう
5) データを分析する
6) 成果をまとめる・研究における課題を克服する
7) 質的調査の理論的背景 1
8) 質的調査の理論的背景 2
9) 質的調査の理論的背景 3
10) まとめ
評価基準
出席およびコメントシート
期末試験は書籍を一冊持ち込み
それについて記述あり
全体として主に記述形式
教科書
質的調査法とは?
実地調査を行うための手法の1つ ⇔ 量的調査法 (正反対の手法)
ポイント
- 部分的に精緻に捉える
- インタビュー、参与観察(少数に絞られる)
- 内容分析、言説分析
※一部がこうだったから演繹的にこうであると言える!という結論には出来ない
両方の側面を持つ調査をもとに研究していくのが理想
意義について
- 全体の傾向を数字だけでは捉えにくいような意識や価値観、行動規範などを明らかにする
- 量的調査における常識を問い質す(ex. 人口調査におけるエスノシティ)
- 「個人の物語」を見ていくことで、より大きな問題な起こり方を多面的かつ全体的に明らかにする(ex.貧困率の上昇)
欠点
- 扱うことのできるケースには限りがあり、それらが全体を代表しているか?については検討不可能
- 量的調査よりも多くの時間と費用がかかる
- 調査する人により大きく結果が変わる可能性(結果の普遍化及び一般化ができない)
つまり、質的調査方法で重要視されるのは
公平性と中立性
(量的調査では客観性)
- 一人ひとりの価値観や世界観を尊重しデータを扱う
- 恣意的なデータの切り取りを避ける
- できるだけ中立に描写(ジャーナリズム)
調査の進め方
- 研究計画の立案(目的、対象、期間、内容など)
- 質問紙と同意書の作成
- 調査実施
- 結果の集計分析
- 結果の発表
重要用語
- フィールドワーク…参与観察を実施する現地調査
- フィールド(フィールドサイト)…↑を行う場所、コミュニティ、団体
- ラポール(を確立する)…フィールド内の人々との信頼関係
- インフォーマント…調査対象者、被験者、実験参加者、調査協力者
- フィールドノート…調査者によるフィールドワークの記録
- エスノグラフィ…(調査方法としての)フィールドワークのこと、またその研究の成果のこと(論文および文献)
そもそもの文化人類学におけるフィールドワークとは?
異なるサイトに赴いて、政治経済および人間関係、信仰、娯楽など、調査対象者の生活のあらゆる側面に渡る資料を集めることが目的だった
→すなわちそれがその文化を知る、ということだと考えられていた
ラポールの濃淡
→調査対象者との関係のこと
1.完全な参加者
→オーバーラポール
2.観察者としての参加者
→参与観察
3.参加者としての観察者
→インタビュー
4.完全な観察者
→非参与観察
研究で質的調査をする予定の人へ
テーマ設定ののちにフィールドに入ることになるが、実際に現場に入るとテーマがずれてくることがある
→ その場合、固執しないこと、先入観をもたないことが大切!
データを集めた後、どのように分析するのか、結論付けるのかはむずかしい、が、凡庸な調査と鋭い調査を分かつことが重要
現実は思った以上に複雑、その複雑さを矮小化しないこと!!!
単純なストーリーを仮定しない!
中立に公平に、複雑に要素が絡んでいることを知ろう!
今日の本紹介
www.amazon.co.jp
www.amazon.co.jp
次回