2017秋学期 水曜 図書館建築論 4週目
前回までのあらすじ
前回の補足
書架と照明
180㎝と90㎝を基本単位として構成するのが原則
10.8m間隔の柱(180㎝の6倍)
天井照明は書架と書架の間のちょうど中央から照らすのが常識
but 人が前に立つと下段が陰になってしまう
解決策:
- 間接照明:均質な明かりを作る。陰ができにくいが、空間が全体的に暗い印象になってしまう。
- 書架照明:棚自体を明るく照らす。天井が高い図書館くらいしかできない。しかし、手元が暗くなりがち。
=>陰をつくらないようにするためにはどうすればいいだろうか?
紹介:学びの社・ののいち・カレード kaleid ;kaleidoscopeから
今回のテーマ:図書館建築を作る手順
新しい図書館を作る手順
……あくまで原則的な流れを紹介
大まかな流れ
- 調査・企画・構想 …6‐12ヶ月 政策決定
- 基本計画 …6‐12ヶ月 ※同上
- 設計 …6‐12ヶ月 事業準備
- 建設 …12‐24ヶ月 事業実施
- 開館準備 … 3‐6ヶ月 ※同上
- 開館 …33‐66ヶ月(3年~6年ほどかかることも)
調査・企画
- 先進事例調査
- 新設・改編の必要性の検討
基本構想
- 施設概要の検討・構想
・どこへ建てるか、規模はどの程度か、など - 運営方法の検討・構想
・直営か、指定管理か、など - 事業手法の検討・構想
・一般、PFI、Design&Buildなど - 事業期間の検討・構想
※PFI(Private Finance Initiative)とは、公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法である。
基本計画
- 施設設備の方針
- サービス計画
サービスの基本方針/重点サービス内容の具体化/資料収集方針の設定/ICT導入など - 運営計画
直営、指定管理など運営方向の計画/運営に伴うコストの試算 - 施設概要の検討・構想
施設地の選定/施設規模と必要な機能の計画 - 事業計画
1.事業手法の設定=一般、PFI、Design&Buildなど
2.事業期間の設定
事業計画の詳細について
- 一般的な方法 (依頼主と設計者と施工者が独立)
・設計者を選ぶ
・設計者が設計を行う
・その設計図をもとに入札を行い、施工者を選ぶ - Design&Build (依頼主と設計&施工をやるチーム)
・設計者と施工者のチームが設計と施工を一貫して行う - PFI・PPP (依頼主が設計施工整備すべてを外部に依頼)
・複数社が事業者としての組織体を設計し事業を行う
・施設整備もその一環としてDesign&Buildで行う
設計選定
設計者選出方法
- 特命
一人選んで依頼する - 入札
料金の小さいひとを選ぶ
指名入札:何社か候補を立ててみる
公募入札:公募で集める - コンペ
案を出してもらって、最もふさわしいものを選ぶ
指名コンペ:何人か指名して案を立ててみる
公募コンペ:提案を公募する - プロポーザル
設計するひと自体をえらぶ方法(最近はコンペと差異がないとのこと) - QBS
資質評価方式;建設産業基本問題委員会のページを参考のこと
設計のフロー
- 基本設計 …どのような建物をつくるか具体化
・基本理念の設定
・建築にかかわる条件の抽出
・方針設定
・全体計画の具体化 - 実施設計 …工事を行うための設計図書を作成する
①設計:細部に至るまでの詳細設計/構造設計・計算/設備設計
②積算:工事費の算出
③法的手続き - 施工者選定
建設
- 本体工事 = 建物本体の工事
- 外構工事 = 建物の周囲の外観・周囲環境の工事
- 家具・備品工事/サイン工事
- コンピュータシステム・ネットワーク工事(ICT工事)
- その他
開館準備
- 工事完成まで
1.予算計画・備品発注手続き
2.新規購入図書の選出・購入
3.移転計画
4.職員配置計画と措置 - 工事完成後~開館まで
1.図書の搬入と排架
2.サービスのための講習
3.システム稼働テスト
4.パンフやHP準備
次回予告
1つの図書館について、スタートから完成までを紹介