気合でなんとか

@Ningensei848が頑張った記録

2017秋学期 木曜 量的調査法 3週目

↓ 前回までのあらすじ ↓

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ワーディング(文章化/文語化, Wording)と周辺の問題

調査項目を文章化し質問文と選択肢の形にすること

  • 何を知りたいか?-知識,習慣,所有,態度,意見,経験,理由,印象
  • 用語を統一する(ex.シノニムsynonym)
  • 主語と目的語は(くどいようでも)省略しない
  • 難解な外来語や漢語を避け,平易な表現にする
  • 専門家と一般人の知識差
    調査者は調査テーマに関する専門家であるが,回答者はそうでない
    専門用語を安易に使ってはならない
  • 関心のギャップ:
    回答者は調査者ほど調査テーマについて関心がないので,
    聞かれたことに答えられない
  • 調査票への慣れ
    調査者は何度もその調査票を見ているので,複雑な回答手順や難解な質問を見逃してしまう.所要時間の見積もりの誤りなども.
  • あいまいな表現
    回答者によって理解の仕方に差がでるような質問
    ex.「あなたがお住まいの地域…」「最近...」「この間…」
  • 否定語を使わない
    「…に反対という意見について,あなたは賛成ですか反対ですか」
  • 過去の記憶は信頼性が低い
    ex.「~について、あなたはどう思っていましたか」「~だったと思いますか
  • インパーソナルな質問とパーソナルな質問の選択
    インパーソナルな質問:市民としての一般的な意識,たてまえ.
    パーソナルな質問:個, 内面, 深層心理(?).
  • 人としての態度(意識),ほんね:
    ex.「男性は積極的に家事に参加すべきだと思いますか」  と
      「今後,あなたは積極的に家事に参加するつもりですか」 など
  • ステレオタイプ化した言葉や表現は避ける
    本来は中立的な概念や事象に社会的なマイナス(またはプラス)イメージのついた言葉を用いること「官僚の天下り」「規制緩和」.結果の誘導につながるかも
  • ダブルバーレル
    一つの質問文のなかに二つ以上の回答対象があるような質問.
    ex.「授業での代返やカンニングについてどう思うか」(並列)
    ex.「カンニングは卑怯な行為なので処分すべきだと思いますか」(複合)
  • キャリー・オーバー
    調査者がシステマティックに調査票を構成したが故に,
    調査者の価値判断の枠組みに触れ,それに影響されてしまう.
    =質問を読む(聞く)ことにより,後の質問の回答に影響を及ぼすという効果.
  • 誘導的質問
    質問文に回答する事柄に関する肯定的な(否定的な)記述を含めることで回答を誘導するような質問.
    ex.「偏差値は生徒の学力を客観的に測ることができると言われていますが,
       あなたは偏差値を使った進路指導に賛成ですか」


質問の形式

単一選択

選択肢が互いに重ならない場合.第一位の選択肢を知りたい場合.ふつうは 5 つ程度.多くても 10 前後.

複数選択(無制限-と制限-)

選択肢が重なりを持つ場合.回答を一つに絞るのが困難な場合.
選択肢の備えるべき性質:悉皆性,排反性.「わからない」は含めるべきか.

序列(順位)法

用意された選択肢に順位をつけさせる方法.

評定尺度(リッカートスケール)

賛否や評価などの程度を知りたい場合.4 分尺度(4 件法)または 5 分尺度(5 件法)が使用されることが多い.4 分尺度は「どちらでもない」を選択させたくないときに使う.

自由回答

あらかじめ回答をカテゴリー化できない場合.具体的な数値を知りたい場合.回答の間違いが生じない単位の設定,回答欄の工夫が必要.

 

尺度と変数(尺度概念)のはなし

統計では変数の「種類」に応じた「適切な」分析手法がある.
例えば,年齢を調べた場合にその結果として平均年齢を示すことになるが,
性別を調べた場合に「平均性別」は無い.
統計学の教科書では通常は以下の 4 つの尺度概念が示されるが,
実際上は間隔尺度と比尺度を区別しないので併せて「量的変数(連続尺度)」とし,
同様にほとんど区別をしないので名義尺度と順序尺度を併せて
「質的変数(離散尺度)」という.

統計学におけるデータの種類(大きく分けて4つ)

  • 質的変数 (qualitative variable):値が本来は数値で表現できない変数
  1. 名義尺度 (nominal scale):
    名前によって区別されるだけの分類.あるカテゴリーと別のカテゴリーの間に意味のある関係はない.
    ex. 性別,賛否など.
  2. 順序尺度 (ordinal scale):
    カテゴリー間の比較が可能な分類.あるカテゴリーと別のカテゴリーを比較して順序を決めることができる.ただしその加減乗除は無意味.
    ex.順位や階級など.
  • 量的変数 (quantitative variable):数値として表現しうる変数

     3. 間隔尺度 (interval scale):
         値と値の間隔が均等な尺度.値の差に意味がある.
         ex.温度など.

     4. 比尺度 (ratio scale):
         意味のある原点(0)が定義できる間隔尺度.値の比にも意味がある.
         ex.長さや重さ.

 

プリテスト(事前調査)

選択肢には予想外の回答を収集できるように必ず自由回答欄を設けておく.数値はカテゴリー化せず具体的な数値を尋ねる.

正確なサンプリングは必要ない.協力を得られやすい集団に対して 10~50 程度行えばよい(無論あまり母集団とかけ離れていても意味がない).必ずやること.


調査の実施方法(教科書 7 章)

おおまかにわけて自計式他計式がある

有効標本数(計画標本数×有効回収率→10/12 の話題),信頼性,コストが大事

自計式(自記式)調査 p.107

回答者が自ら回答を記入する方法

インターネット調査

インターネットを通じて行われる調査.回答者は Web ブラウザで特定のサーバにアクセスして質問に答える.

以下の例について考えよう

A あるサイトの訪問者を対象に調査を行う(Web サイトの評価など)

B 郵送調査に代えて Web でアクセスさせる

C モニタ調査(Yahoo リサーチなど)

 

考えるべき問題点

  • 同一人物の多重回答(多重投票)
  • 母集団からの歪み(特にモニタ調査) > かなり異なることが知られている

調査としての特性

  • 匿名性の担保と多重回答の回避という矛盾する要求
  • 複雑な調査が容易に行える(条件分岐,カラー画像や動画の提示など)
  • 極めて迅速(発注からデータ納品まで 1 週間~2 週間)
  • 郵送調査以上に低コスト(10 問×200 件=100,000 円,45 問×1000 件=1,000,000 円)
  • 回答への強い動機付けが必要
  • 無回答などのチェックを強制できる(回答者のストレスは大きい)
  • 改めてデータ入力の必要がない(エディティングも不要)

 

まとめ
  • Aのパターンの調査は学術的には相手にすべきではない
  • 今後は郵送法に代えてBのパターンを模索する必要がでてくる(例えば国勢調査のインターネット化).この時,回答困難な人をどう考えるかが問題になる.
  • Cによる研究が増加傾向にある.ただし,モニタの品質など問題が大きく,モニタ調査で行わなければならない妥当性の説明が強く求められる.採用には慎重であるべき.

 

 

次回

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